パウリ常磁性について
問題を解いていて「あれ?解けない。」となったのでまとめでも作ろうと思いました。
パウリ常磁性はもともと磁化はないのに、低温で磁場をかけると磁化が生じる現象です。
パウリ磁化率まで出して終わりにしようと思います。
1次元理想電子気体を扱います。
系の長さをL、逆温度β、電子数Nとする。以下低温だと考える。
磁場Hの下でのハミルトニアン は
ここで はj番目の電子のエネルギーで、 とする。
電子はフェルミオンなのでフェルミ・ディラック統計に従います。つまり分布関数f(ε)は
は粒子数の期待値です。
状態密度 をとすると全粒子数の期待値は
ここで はフェルミエネルギーです。
磁化Mは
は 上向きスピン の電子数、 は下向きスピン の電子数です。
また、 です。
この磁化が問題ですが、H=0のときは は同じ数なのでM=0 になります。一方、H >0のときは上向きにスピンがそろいやすいので、 に近いエネルギー準位の下向きスピンをもつ電子が上向きスピンの向きを変えます。しかし、エネルギーが までしか入れないため、上向きスピンは増えた分だけエネルギー固有値を下げます。下向きスピンは減った分だけエネルギー固有値を上げます。そして、上向きスピンの方が数が多くなります。この増減幅は なので はそれぞれ
ここで積分の下限が0なのは が無限に比べ十分小さいからです。
Mは
磁化率χは
より現実的なχを得るために低温展開(ゾンマーフェルト展開)すると
よって
磁化率の温度依存性があまりないことがわかります。この磁化率をパウリの常磁性磁化率といいます。
長い…間違いがあったら教えてくれると喜びます。